宿借帳

もう家なんか買わない

エンドマーケットで不動産オークションは成立するのか

ヤフオクなど消費者間での自由な取引はいまや当たり前になっている。ヤフオクにも不動産は出展できるらしいが、これ本気で利用しようと考えているエンドユーザーてどのくらいいるんだろうか。一般的な財は大量生産が可能なため、中古であろうと市場の手にゆだねれば市場価格は形成され、その情報は一般消費者も容易にリーチできるため、価値判断が容易になっている。これが不動産になると話が違ってくる。不動産は他の財とことなり、同じものが二つとしてない、極めて個別性の強い財だからである。同じマンションの、同じ階の隣同士の部屋でさえ、日照、通風、景観などが微妙に異なり、中古であれば更に維持管理の状態やリフォームの有無などで個別に価格が形成されていく。何が言いたいかといえば、不動産オークションがあったとしても、いくらで入札すれば自分が納得するのかが、他の財と同じように納得して入札することが素人にはできないため、エンド向けの不動産オークションが成立できてないのではないかと考えられる。以前、シャンソンの大物歌手をCMに起用し、大々的に宣伝していた不動産オークションサイトも、結局は不動産のプロしか参入してこなかったうえ、市場からいつの間にか姿を消していた。ただ成功しているオークションサイトもある。競売市場だ。競売市場は市場価格の約3割引きの基準価格からスタートし競り上がり方式で、最も高い価格で入札した人が落札する仕組みになっている。かつ、基準価格は裁判所の評価人である不動産鑑定士が査定しているため価格の信憑性が高い。また、民事執行法も改正され、強制執行の手続きなども簡素化されたため、安心して素人が入札する環境が整っている。まあ、一番の理由は、市場価格よりも安く購入できる可能性がある数少ないというか唯一の市場であり、このプロも参加する仕入市場には入場制限がないため、保証金の準備さえできれば素人も入札ができる。市場価格よりも安く購入できる可能性があるから成立している。素人でも0.7で割り戻した評価額以内であれば、お得感があるという計算くらいはできるからである。ただ、本当は競売市場はとても危険である。ちゃんと3点セットを読みこなし、占有者の状況などを確認でき、かつ、立ち退きが必要な際には、引っ越し代くらい払った方がトータルで安くつくといった感覚がないと、参加することをお勧めできない。本来であればオークションが価格形成の市場としては一番合理的な仕組みなのは承知している。既存の不動産売買市場なんかより極めて透明性が高いからである。

家の「お試し」が浸透しない理由

高額な商品になるほど購入に慎重になるのは当たり前の話で、最終判断にはいくつものフィルターが必要になります。価格はもちろん、営業マンの態度、信頼できるブランド、奥さんを説得できるか等々。その中でも重要なのが「お試し」ではないでしょうか。ゴルフクラブであれば試し打ち、自動車であれば試運転、腕時計などの装飾品であれば試着してから決めると思います。余程の富裕層であれば話は違うかもしれませんが。それでも購入後後悔することも多いものです。瞬間的な一目惚れ程、飽きるのも早いものです。

 

さて住宅はどうでしょうか。不動産会社の中には「試し住み」「試住」としてマンションの購入前に一定期間賃貸(定期借家契約)できるサービスを展開しているところもあります。但し、これができるのは中古だけです。なぜなら住宅は人が一日でも居住してしまうと中古物件になってしまいます。新築プレミアムが剥がれ落ちてしまうんですね。中古であれば所詮は中古なので、賃貸で売れるまでの期間少しでもランニングコストを回収できるという意味でも「試し住み」というのは売る側にとってもデメリットにはならないんですね。借りる側も原状回復義務を負うのでそれなりに丁寧に利用します。

 

「試し住み」をするのも相当の覚悟が必要になります。今ある住居からの引っ越し、住民票も移し替える必要があります。子供がいれば学区も変更になるかもしれません。その他、運転免許証、会社への届け出など経験した人はわかると思いますが、試しだからといって安易に利用できるものではないように思います。ただ、本当は購入したいんだけど、住んでみないと周辺環境や近隣住民がどんなものかわからないからと慎重な性格の人にはよいかもしれまん。

 

「お試し」というのは他の商品では当たり前かもしれませんが、不動産の世界ではつい最近までありませんでした。やっていても一部の企業です。私なりに浸透しない理由を考えてみました。
・早く現金化したい、賃料なんてちまちました金額では困る。
・変な人に貸したら大変、定期借家契約でもちゃんと返してくれるの。
・築年数の浅いうちに、市場価値の高いうちに処分したい。

 

家を売るというのはそれなりの事情があります。売らざるを得ない事情があるから売るんです。そういうわけで、家の「試し住み」というのは業者の売り物件でかつ中古の場合なら、双方メリットがありそうです(業者も早期に資金を回収したいのが実情ですが)。消費者の観点からすれば、新築物件ほど本当は「試し住み」の需要があると思うのです。中古以上に失敗したくないはずですから。

住み替えの理想と現実

車を買い替えるように、家もライフステージにあわせて買い替えるのが理想です。独身の時は2シートでもスポーツカーでも不自由は感じませんが、家族をもてばワゴン車の方が便利ですし、時代にあわせて電気自動車を購入するかもしれません。このように車であれば人によっては2年毎に、長くても10年単位で買い替えるのが普通です。これが家になると途端に難しくなります。原因は単純で、買い替えに伴うコスト負担と危険負担が家の場合非常に重くなるからです。5000万円のマンションは、5000万円では購入できません。仲介会社に支払う手数料、印紙税や登録免許税、金融機関や司法書士などに支払う手数料などすべて含めると売買金額の5~10%程度の諸費用が必要になります。5000万円のマンションを購入するには500万円程度の諸費用が必要になるんです。そしてこの諸費用、買い替えのケースを想定すると2倍必要になるんですね。売るときと買うときの両方で発生します。ここで理想的な住み替えを想定したいと思います。まず結婚して夫婦共稼ぎの時代は、都内にある駅近の1LDK(50㎡)を購入します。次に子供が生まれて郊外の一戸建4LDK(100㎡)を購入します。子供が巣立ってまた利便性の高い駅近のマンション1LDK(50㎡)を購入します。金額がすべて同じ5000万円と仮定した場合、住み替えにより支払う諸費用は高くみて2500万円になります。これだけで家が買えますね。また、家を購入するというのは単に物理的な行為に留まりません。周辺環境も購入したことになります。ここが肝になります。家の構造的な部分はある程度購入前の段階で把握することが可能な時代になりました。インスペクションの普及や建築基準法の改正で、瑕疵物件か否かは購入前の段階である程度は把握することができるようになりました。但し、購入する前にどうしてもわからない部分が家にはあります。それが環境です。匂いや音、近隣住民、前面道路の人通りや交通量、これらが季節ごと24時間ごとに変わってきます。ある程度まではわかるかもしれませんが、やはり住んでみないと分からない部分を残しながら購入するのが家なんです。よく、家を購入するのはギャンブルだという人がいますが、あながち間違っているとは思いません。諸費用の問題もありますが、いざ売ろうとしても、株などの金融資産と異なり簡単に買主が現れるわけではないので、売りたいときに売ることもできません。これでは、住み替えが理想といっても絵に描いた餅でしかありません。不動産の魅力は下がる一方ですし、同じ資産であれば他の金融資産の方が有利と考える傾向が高くなりそうです。正直賃貸で十分かもしれません。今までの流通では、この問題は解消されませんでした。住み替えは売買を繰り返す以上促進されないんですね。でも、売買以外の方法があれば解決できるかもしれません。

土地を所有することの意味について

土地をお持ちでしょうか?土地の権利形態にはいくつかの種類があります。所有権、借地権、使用貸借、定期借地、区分地上権、敷地利用権等々です。土地を購入された方であれば、全部事項証明書の甲区欄の権利が所有権になっています。この土地はあなたのものであることを証明しています。はずです。土地を所有してしまうと毎年土地が所在している自治体に固定資産税と都市計画税都市計画区域内)を支払う必要があります。土地を所有していることによる便益を税金で支払ってねということですが、これ、なんか賃料みたいじゃないですか。ただでは所有できないんです。また、前面道路を拡幅するから、役所から土地を譲ってねといわれると抵抗できません。土地収用法という伝家の宝刀が行政にはあるので、公共優先ということで、強引に没収されます。もちろん、各種補償が上積みされた対価があるので、金銭との交換になります。所有権といっても生きている間だけの話です。死んだらなくなります。相続はされるかもしれませんが所詮は一時的な権利なんですね。元本と果実といって、所有権は元本でそこから発生する賃料が果実といわれます。でも、どのスパンでみるかの話ですが、どちらも果実でしかありません、生きている間だけしか味わえませんから。相続人も所詮は他人です。今の時代先祖代々の土地とか意味分かりません。これは考え方の問題ですが、土地を所有することには何のステータスもありません。最近の土地白書でも、土地を他の金融資産と比べて有利な資産だと思う人の割合も減少しています。確かに、たくさん土地もっているよりもたくさんビットコインもっているの方がわくわくします。私は。土地をもっているといっても所詮期間の比較的ながい賃借権を設定しているにすぎません。これを所有権といって、永遠にあなたのものですと勘違いしているだけのような気がします。フィクションです。これから先、間違いなく土地あまり、家あまりの時代が到来し、土地の価値は低減します。車などの動産が先行していますが、誰のものでもなく、土地も共有する時代が近いのではと考えています。共有といっても所有権を特定の人達で共有するという意味ではありません。ですのでどのような形で共有するか、ここがとても大事です。民箔もいいですが、もっといい形があると思います。